偽る恋のはじめかた
「週に1度はこうやって作戦会議した方がいいかなと思うんですが、桐生課長はどう思いますか?
忙しいと思うし、全然メールでも・・・・・。」
「いや、週3でお願いしたい。」
「週3?!
分からないことは、メールでも全然返事しますよ?」
「では・・・・・、月曜日と金曜日の週2でご飯休憩の時に作戦会議を頼めないかな?
もちろん、桐生課長が全部奢るから。指導してもらえるお礼として。なんなら謝礼金も払うし、交際できた暁には、成功報酬も払うつもりではいるんだが・・・・・」
謝礼金?!成功報酬?!
突然何を言うのかと思えば、とんでもないことを言い出すので驚いた。本気で言っているのだろう。深刻そうな面持ちをしていた。
元々お金目的でやってる訳ではないし、さすがに上司から現金を受け取るわけにはいかない。
「いや、さすがにお金は受け取れないです」
「無償で指導お願いするのも・・・・・・、気が引けてしまって。椎名さんの時間を奪うわけだから」
「じゃあ、お礼は作戦会議のご飯代ということで・・・・・。月曜日と金曜日、ご馳走になります」
桐生課長は、異論はないという様子で深く頷いた。
(律儀なんだなあ、本当に真面目な人)
———桐生課長と私は作戦会議という名目で、月曜日と金曜日のお昼を一緒に食べることとなった。