偽る恋のはじめかた
「・・・・・・っと、長い時間2人で資料室に篭っていたら他の社員に怪しまれるな。この資料を読みたくて仕方ないが・・・・・・頑張って我慢して、うん、仕事に戻る、か」
「うーん」と、自分と格闘しているように唸り声を上げながら、読みたくてしかたないけど渋々諦めるといった感じだ。
「ふふっ」
「・・・・・・なにか面白いことあった?」
「いや、すみません、ふふっ。桐生課長が、なんだか可笑しくて。絶対、今みたいな素の方がいいですよ?」
さすがの私も可笑しくて、我慢出来ずに笑ってしまった。桐生課長は返事はせずに、照れるような仕草で頭をかいた。