偽る恋のはじめかた
「ん?」
目を開けると見慣れた天井。横には誰もいない。
目が覚めたのは、見慣れたベッドの上だった。
あれ?桐生課長が私の部屋にいたのって、夢?
なんか、リアルな夢だったなあ。
ゴムが伸び切ったパンツ履いてたし、夢でよかった。現実だったら、こんなシチュエーション、男女の関係になってしまうよね・・・・・・。
うん、これでよかった。
桐生課長が好きなのは、親友の梨花だ。私達が一線を越えてしまったらややこしい。心の片隅でガッカリしている自分に、言い聞かせるように何度もつぶやいた。
夢の中の出来事のはずなのに、温もりの余韻が体に残っているような気がした。
ガチャ、不思議な気持ちのままリビングの扉を開けた。そして、目の前に広がる光景に私は絶句する。