殿下、溺愛する相手がちがっています!
にい
お、おかしい。
学園が始まって早3ヶ月が経つというのに、フォックス殿下と、ヒロインのアルディリアさんとの好感度があがらない。
なぜなの?
そろそろ、お2人がご一緒に過ごす姿を見てもいいはず。なのに、フォックス殿下はわたしばかりかまうし。アルディリアさんはお近付きになろうと、近寄ってはくるけど、フォックス殿下にスルーされている。
ひと目見たときに、2人は恋に落ちるんじゃないの?
この前なんて。
「きゃっ、転んじゃった」
アルデェリアさんはフォックス殿下のそばで、転んだのだけど。フォックス殿下は避けて、彼の側近がアルディリアさんを助けていた。またある日、アルデェリアさんは尚も奮闘するもフォックス殿下の近衛騎士、側近によってさえぎられていた。
何度も挑むも、彼女は上手くいかず。
いい加減、頭にきたのか。
「またアンタ達なの? あたしはフォックス様に用があるの、邪魔しないでぇ!」
いくら、アルディリアさんが声を上げても、彼らは冷静に。
「そういうわけにはいきません。我らはアルディリア様には何度も申し上げております。フォックス殿下にご用があるのでしたら、事前に申し出てください」
「フォックス殿下には婚約者以外、誰一人、近付かせるわけにはいきません」
「はあ? なんでよ!」
フォックス殿下はグレイス国の第一王子だから怪我をさせるわけには、いかないのはわかるけど――そういう彼らも攻略対象なのだけど……
❀
まあ、そんな毎日が続きましたが……ついに来ました。アルディリアさんと、フォックス殿下のイベントが。
そのイベント内容はというと。
シルルアン学園のテラスでわたしと、フォックス殿下がお茶をしているところに、アルディリアさんが授業の内容がわからないとやってくる。
『フォックス様ぁ~』
『あら? なにか御用なのアルディリアさん?』
『あ、ラビット様、ごめんなさい。さっきの授業でわからないところがあって……おじゃまでした?』
『邪魔よ、見てわからないの?』
『いいじゃないか、ラビット嬢。授業でわからないところがあれば聞いて、と言ったのは僕だから……アルディリア嬢、僕の隣に座って』
『はい、失礼します』
『フォックス様?』
嫌がるラビットを無視して、フォックス殿下はアルディリアさんをお茶に誘うと、2人で横並びに座りノートを見ながら教えはじめる。そこに運ばれてくる苺のケーキをフォックス殿下は、アルディリアさんに食べさせるのだ。
(フォックス殿下が幸せそうで、アルディリアさんに優しくして、可愛くて素敵なわたしの好きなイベント)
『この苺、美味しいよ』
『ダメです、ラビット様が見ています』
『何もやましいことはしていない。手が空いていないアルディリアさんに、僕が苺を食べさせようとしているだけ』
『フォックス様おやめください! 婚約者の、私の前でそのようなことをなさるなんて! ……フォックス様はひどいですわ!』
ラビットは怒りをあらわにして、立ち去ってしまう。
(悪役令嬢のラビット(わたし)は可愛いそうだけど。噛ませ役の悪役令嬢だからなぁ……仕方がない)
学園が始まって早3ヶ月が経つというのに、フォックス殿下と、ヒロインのアルディリアさんとの好感度があがらない。
なぜなの?
そろそろ、お2人がご一緒に過ごす姿を見てもいいはず。なのに、フォックス殿下はわたしばかりかまうし。アルディリアさんはお近付きになろうと、近寄ってはくるけど、フォックス殿下にスルーされている。
ひと目見たときに、2人は恋に落ちるんじゃないの?
この前なんて。
「きゃっ、転んじゃった」
アルデェリアさんはフォックス殿下のそばで、転んだのだけど。フォックス殿下は避けて、彼の側近がアルディリアさんを助けていた。またある日、アルデェリアさんは尚も奮闘するもフォックス殿下の近衛騎士、側近によってさえぎられていた。
何度も挑むも、彼女は上手くいかず。
いい加減、頭にきたのか。
「またアンタ達なの? あたしはフォックス様に用があるの、邪魔しないでぇ!」
いくら、アルディリアさんが声を上げても、彼らは冷静に。
「そういうわけにはいきません。我らはアルディリア様には何度も申し上げております。フォックス殿下にご用があるのでしたら、事前に申し出てください」
「フォックス殿下には婚約者以外、誰一人、近付かせるわけにはいきません」
「はあ? なんでよ!」
フォックス殿下はグレイス国の第一王子だから怪我をさせるわけには、いかないのはわかるけど――そういう彼らも攻略対象なのだけど……
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まあ、そんな毎日が続きましたが……ついに来ました。アルディリアさんと、フォックス殿下のイベントが。
そのイベント内容はというと。
シルルアン学園のテラスでわたしと、フォックス殿下がお茶をしているところに、アルディリアさんが授業の内容がわからないとやってくる。
『フォックス様ぁ~』
『あら? なにか御用なのアルディリアさん?』
『あ、ラビット様、ごめんなさい。さっきの授業でわからないところがあって……おじゃまでした?』
『邪魔よ、見てわからないの?』
『いいじゃないか、ラビット嬢。授業でわからないところがあれば聞いて、と言ったのは僕だから……アルディリア嬢、僕の隣に座って』
『はい、失礼します』
『フォックス様?』
嫌がるラビットを無視して、フォックス殿下はアルディリアさんをお茶に誘うと、2人で横並びに座りノートを見ながら教えはじめる。そこに運ばれてくる苺のケーキをフォックス殿下は、アルディリアさんに食べさせるのだ。
(フォックス殿下が幸せそうで、アルディリアさんに優しくして、可愛くて素敵なわたしの好きなイベント)
『この苺、美味しいよ』
『ダメです、ラビット様が見ています』
『何もやましいことはしていない。手が空いていないアルディリアさんに、僕が苺を食べさせようとしているだけ』
『フォックス様おやめください! 婚約者の、私の前でそのようなことをなさるなんて! ……フォックス様はひどいですわ!』
ラビットは怒りをあらわにして、立ち去ってしまう。
(悪役令嬢のラビット(わたし)は可愛いそうだけど。噛ませ役の悪役令嬢だからなぁ……仕方がない)