殿下、溺愛する相手がちがっています!
なな
学園の午後。
フォックス殿下! と。焦ったヒロインのアルディリアは書庫にいる、わたしとフォックス殿下に突撃してきた。
「フォックス様、どうして悪役令嬢のラビットと一緒にいるのですか? 彼女といてもフォックス様の呪いは解けません!」
……フォックス殿下の呪い。
ゲームのフォックス殿下は幼いわたしに「その笑顔が怖い」という一言で傷付き。それ以来――笑わなくなってしまう――呪いというより言葉の呪縛のようなもの。
だけど、婚約者に選ばれたわたし。
わたしを嫌いな、フォックス殿下はますます笑わなくなる。その傷をヒロインのアルディリアさんが癒すのだ。
『フォックス様の笑顔が好きです』
『ほんと? 僕はアルディの前なら笑えるよ』
ヒロインとヒーローの、可愛い告白のイベント。
だけど、わたしはフォックス殿下の笑顔が、全てが好き。
まだ記憶がない頃の幼いわたしも、乙女ゲームとは違い。ポーッと頬をそめて「可愛い」と、フォックス殿下を見ていたとかで……わたしのお母様がお茶のときに、その話をいつもする。
フォックス殿下の前でも言うから、はずかしい。
でも、幼い頃。フォックス殿下にお会いするたびに、彼は獣化してしまって、わたしをナデナデ係にしてくれた。
だから、フォックス殿下は呪いにかかってはいないけど、獣化が彼をおかしくする。
「それで君が言う。僕の呪いとはなんだい?」
「その女が言った「笑顔が怖い」という一言で傷付いた、フォックス様は自分が嫌いなの。あと獣化したときに原種の血が濃くて、元のお姿に戻れなくなるの!」
アルディリアさんの言う通り……フォックス殿下は獣化してしまうと中々戻れなくなる。乙女ゲームだと……獣化したまま、フォックス殿下は野生化してしまう。
二度と、元の姿に戻れなくなると言われてしまうが、ヒロインは噛みつかれながらも、彼のトリガーを見つけて彼を元に戻すのだ。
涙ものの、イベントだった。
「ふーん、僕が戻れなくなるねぇ〜。それより、君は僕の婚約者ラビットにたいして言葉遣いがなっていない。それに聞いているよ……君は僕以外にも婚約者がいる男性に獣人のしたリスの姿で言い寄っているだろう? あれ、やめた方がいいよ」
アルディリアさんが婚約者がいる人に、言いよるって……それって攻略対象者よね。
「やめないわ、私はこの乙女ゲームのヒロインなの! みんなに愛される存在なの! フォックス様はやく私と手を取り合い、そいつから逃げましょう!」
「そいつ? 逃げる? 嫌だけど」
「ふえっ?」
期待していた言葉とは違い。
驚きで、すっとんきょうな声を出した、アルディリアさん。
「君のことはよく知らない。悪いけど、僕はラビットだけを愛している」
「嘘よ!」
「なら証拠を見せようか。ラビット、僕の頬にキスして」
「ふえっ? キス、ここでぇ!」
今度は、わたしがすっとんきょうな声を上げた。
フォックス殿下! と。焦ったヒロインのアルディリアは書庫にいる、わたしとフォックス殿下に突撃してきた。
「フォックス様、どうして悪役令嬢のラビットと一緒にいるのですか? 彼女といてもフォックス様の呪いは解けません!」
……フォックス殿下の呪い。
ゲームのフォックス殿下は幼いわたしに「その笑顔が怖い」という一言で傷付き。それ以来――笑わなくなってしまう――呪いというより言葉の呪縛のようなもの。
だけど、婚約者に選ばれたわたし。
わたしを嫌いな、フォックス殿下はますます笑わなくなる。その傷をヒロインのアルディリアさんが癒すのだ。
『フォックス様の笑顔が好きです』
『ほんと? 僕はアルディの前なら笑えるよ』
ヒロインとヒーローの、可愛い告白のイベント。
だけど、わたしはフォックス殿下の笑顔が、全てが好き。
まだ記憶がない頃の幼いわたしも、乙女ゲームとは違い。ポーッと頬をそめて「可愛い」と、フォックス殿下を見ていたとかで……わたしのお母様がお茶のときに、その話をいつもする。
フォックス殿下の前でも言うから、はずかしい。
でも、幼い頃。フォックス殿下にお会いするたびに、彼は獣化してしまって、わたしをナデナデ係にしてくれた。
だから、フォックス殿下は呪いにかかってはいないけど、獣化が彼をおかしくする。
「それで君が言う。僕の呪いとはなんだい?」
「その女が言った「笑顔が怖い」という一言で傷付いた、フォックス様は自分が嫌いなの。あと獣化したときに原種の血が濃くて、元のお姿に戻れなくなるの!」
アルディリアさんの言う通り……フォックス殿下は獣化してしまうと中々戻れなくなる。乙女ゲームだと……獣化したまま、フォックス殿下は野生化してしまう。
二度と、元の姿に戻れなくなると言われてしまうが、ヒロインは噛みつかれながらも、彼のトリガーを見つけて彼を元に戻すのだ。
涙ものの、イベントだった。
「ふーん、僕が戻れなくなるねぇ〜。それより、君は僕の婚約者ラビットにたいして言葉遣いがなっていない。それに聞いているよ……君は僕以外にも婚約者がいる男性に獣人のしたリスの姿で言い寄っているだろう? あれ、やめた方がいいよ」
アルディリアさんが婚約者がいる人に、言いよるって……それって攻略対象者よね。
「やめないわ、私はこの乙女ゲームのヒロインなの! みんなに愛される存在なの! フォックス様はやく私と手を取り合い、そいつから逃げましょう!」
「そいつ? 逃げる? 嫌だけど」
「ふえっ?」
期待していた言葉とは違い。
驚きで、すっとんきょうな声を出した、アルディリアさん。
「君のことはよく知らない。悪いけど、僕はラビットだけを愛している」
「嘘よ!」
「なら証拠を見せようか。ラビット、僕の頬にキスして」
「ふえっ? キス、ここでぇ!」
今度は、わたしがすっとんきょうな声を上げた。