真夏に咲いた奇跡の恋花火
お祭りに行く理由
「おはよう」

「おはようございますっ」



翌朝。額の汗を拭いつつ、校門に立つ先生に挨拶を返した。

日傘や手持ち扇風機で暑さをしのぐ生徒達にまぎれて、1人汗だくで自転車を押して歩く。


やっと雨続きの日々から解放されたと思ったら、次は汗続きの日々って……。まだ8時なのに。

……まぁ、こんな炎天下の中、20分近くも自転車漕いでたら暑くなるのは当然なんだけど。



「皆吉さん、おはよう!」



ため息をついていたら、一際大きい声が飛んできた。

顔を向けると、頭に赤いタオルを巻いた男の先生が手を振っている。



「おはようございます。……都丸(とまる)先生ですか?」

「ピンポーン! 帽子を洗うのを忘れちゃってな。急遽タオルで代用したんだよ」



あっはっはと豪快に笑い始めた。

濃いめの顔と筋肉質な体型が印象的な都丸先生。
担当教科は体育で、剣道部の顧問を務めている。



「他の先生からラーメン作ってそうって言われたんだけど、皆吉さんはどう見える?」
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