真夏に咲いた奇跡の恋花火
話をつなげることに成功し、胸を撫で下ろす。


危なかった。流れに任せて話すところだった。

なんとか乗り切れて良かったけれど……。



「皆吉さんは何食べるか決めてる?」

「たこ焼きとかお好み焼きかな。あまり屋台で買い物しないから、メジャーな物しか知らないんだよね」

「あー、ずっとお店の手伝いしてたんだっけ。お祭りにあまり行かないなら無理もないか」



安心はそう長くは続かず。汗を拭うふりをして顔を背ける。


乃木くんは何も悪くない。ただ思ったことを言っただけ。

別に、全部打ち明けなければってわけでもないから、このまま隠し通すこともできる。


しかし、家庭の事情を教えてしまった以上、今は良くてもいずれ限界が来るだろう。


話すの、怖いな。
でも、隠し続ければ続けるほど、精神的にどんどん辛くなるから。

ちゃんと話せるよう、夏祭りの日までに心を決めないと。


視線を落としたまま歩いていると、「乃木くーん!」と後ろで大きな声が響いた。



「おっはよー! 今日も朝から眩しい頭してますね〜。この色男っ!」
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