真夏に咲いた奇跡の恋花火
「はいはいどうも。そっちも朝から騒がしいですね」

「わー、つめたー。あっ、皆吉さんも一緒だったんだ。おはよ!」

「お、おはようっ」



乱入してきた手島くんにぎこちなく挨拶を返した。

トートバッグから見えるユニフォームと濡れた前髪から、朝練終わりということがうかがえる。


この時期に外で練習なんて、疲れ切ってるはずなのに。さすがシャトルラン120回超え。

私も人より少し体力はあるほうだけど、やっぱり運動部には敵わないや。



「なぁなぁ、都丸先生見た? 頭にタオル巻いてんの」

「見た。焼きそば職人みたいですねって言ったらめちゃくちゃニコニコしてた」

「乃木は焼きそばかぁ。俺はたこ焼き屋の店長かな。秒でひっくり返してそうじゃね?」



昇降口が近づいてくるにつれて、生徒の数も増えてきた。

歩幅を小さくし、並んで歩く彼らの斜め後ろに移動する。


……綺麗だなぁ。


日光に照らされて繊細な輝きを放つミルクティーベージュ。

もう何百回と見てきている光景だけど、目が釘付けになってしまう。
< 22 / 79 >

この作品をシェア

pagetop