真夏に咲いた奇跡の恋花火
「うわっ、なに今の子。めちゃくちゃイケメンじゃなかった⁉」

「やばいよね! 芸能人かと思った!」

「あの髪色羨ましい。地毛なのかなぁ」



昇降口に入った途端、女子達の視線が前方の彼に集まっていく。


あぁ、やっぱり今日も……。


入学式の時点で既に『かっこいい男の子がいる』って噂されてたもんな。

そのせいか、どこへ行ってもどこにいても、常にみんなの注目の的。


入学から3ヶ月経った今、教室で騒がれることはなくなったけれど、一歩外に出ればこの有り様。

早いうちに距離を取っておいて正解だった。



「皆吉さんはどうだった?」



靴を履き替えていると、手島くんに呼ばれてパッと顔を上げた。



「ごめん、聞いてなかった。何?」

「お祭りに行ける許可下りた?」

「うん。相談したら丸1日お休みもらったから」

「マジ⁉ 皆吉さんも⁉」

「そうだよ。みんな来てくれて良かったね」



喜びを噛みしめる手島くんの肩を乃木くんがポンポンと叩く。


柔らかい口調に優しげな眼差し。だけど……若干口元が引きつっているような。

私の気にしすぎ……?
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