真夏に咲いた奇跡の恋花火
突き刺す連撃
「──……さん、皆吉さん」



女子トイレの入口で清掃チェックシートを眺めていると、肩をポンポンと叩かれた。



「男子トイレ、問題なかったよ。そっちはどうだった?」

「同じく。全部丸だった」

「よし。じゃあ3階に行こう!」



階段を一段飛ばしで駆け上がっていく手島くんの後を、シートに丸を付けながら追う。


終業式を金曜日に控えた火曜日。

今日は美化委員会の活動で校内の見回りを行っている。



「洗い場と窓、異常なしでーす!」

「はーい」



踊り場から降ってきた報告をシートに書き込む。


冷房も風もない蒸し暑い空間を歩いているにも関わらず、テンションは今朝と同じ。元気いっぱい。

一方私はというと……。



「んじゃ、また男子トイレ見てくるね!」

「……」

「あれ? おーい」

「えっ? あっ、うん。お願いしますっ」
< 40 / 79 >

この作品をシェア

pagetop