瀬野先輩は高嶺の花を溺愛してもし足りない。
とりあえず助かった、のかな...?


それにしても...。


城田先輩の去った方向をにらむ瀬野先輩を盗み見る。


解放してもらったことは感謝だけど、こんなTHE・不良みたいな人とはこれ以上関わり合いにはなりたくない。


お礼だけ言って退散しよう...。


「あの、えと、あ、ありがとうございました!!」


声が多少裏返ったけれど気にするまい。


慣れないこと続きで息も上がっている。


瀬野先輩の横を急ぎ足で通り過ぎて元の入り口に向かう。


はずだった…。


「あっ…」


横を通る瞬間に落ちていた小石につまづいて身体が傾く。
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