その頃にはまた、君を映すから。
四角の中に映る君。
ある日、君に恋をした。少女漫画でよく見るような、そんな言葉だけれど…。
ぬるい風が教室のカーテンをふわりと舞いあげた時の君の表情に、私は思わずシャッターを切った。それが…きみとの始まりだった。
夏野山高校、初夏。鋭い日差しが校舎の中に入ってくる。下敷きで仰ぐ生徒、スカートを短くする生徒、そして長袖ロングスカートの生徒。
まぁ、私なのだけれど…。
夏野山高校、春。私たち1年生は入学式を迎えた。入学したてで静かだった教室も3ヶ月も経てば色んな人の話し声や笑い声の聞こえる、活気の溢れる教室になっていた。そんな中、前の席に誰とも話さず一人で座る生徒が1人。
まぁ、私なのだけれど…。
気にしては無い。中学の時もそうだった、誰1人友達ができず、一人教壇の前で本を読んでいるようなそんな人間だった。でも、少しだけ変わったことがある。
「ねぇ」
「ん?どうしたの?」
「写真撮ってよ、うちら」
「え、あぁ!うん!いいよ!」
クラスの女の子に少しだけ話して貰えるようになったのだ。まぁというのも、、
「とるよ〜!ハイチーズ!」
カシャッ!
「どうかな?」
「いんじゃね?いーでしょ?これで」
「いーよー」
「あんたにまかせるわー」
「はぁ?w任せんなしwwwまぁいいや、じゃあこれで、後でLINEで送っといて」
「うん、わかった。」
うちの学校では、スマホを使うのを禁止されている。校内でスマホを使っているのを見つけた場合ただちに没収という現代でスマホを使う若者にとっては苦痛な罰が待っている。そこで、彼女たちが目に着けたのが私である。私はこの高校に入った新入生で唯一の写真部員なのだ。うちの学校の写真部は、活動数や活動日は少ないが、スマホでの写真撮影は認めておらず、一眼レフまたはちゃんとしたカメラを持っていないと写真部の入部は認められない。それなら他の部活でいいやと、写真部に入る生徒は居なくなり、もともと写真を撮るのが好きな私一人になってしまったのだ。この学校の1年生で常にカメラで撮影を出来るので、彼女たちにとっては都合のいい女なのである。言い方悪くなっちゃったけど…。
でも、学校で話しかけられるのは本当にその時しかない。それ以外の時は友達のいないぼっちだ。もう慣れたし別になんとも思わないけれど。
そんなことを考えていたら、放課後になっていた。今日は1週間に1度しかない部活動の日なのだ。私はHRが終わると、支度をし部室を目指して歩き出した。
(部室、別館にあるから遠いんだよな…)
教室がある棟とは別の、別館というところの一番端の教室なので、たどり着くまでが大変だ…。
やっと部室に近づいてきた頃、ふと今日提出するはずの写真を忘れたことに気づいた。最悪だと思いながら教室に戻ることにした。
(まだ誰かいたら気まずいなぁ…)
なんて思いながら、自分の隣のクラスを通り過ぎようとした時人影が見えた。まだ帰っていない人がいたのかな?と思い少し覗いてみると、そこには優しい顔をした髪の長い男の子がいた。窓際に肘を置いて外を眺めている姿が、沈み始めた太陽に気に入られているかのように教室とマッチしていて、美しかった。。私は瞬時にカメラを手に取り、シャッターを切った。
カシャ
静かな教室と廊下にシャッター音が響く。すると同時に男の子が驚いたように振り返った。
「あ、」
「…あ」
目が合った。美しい緋色の目だった。吸い込まれそうな瞳にどうしたらいいのか分からなくなって何も言わずに教室へ走った。。
(何してるんだ私…!!これじゃ盗撮と一緒じゃんか!!!)
罪悪感なのかなんなのか、私には分からないけれど、この胸の高揚感は多分罪悪感とは違う物な気がする…。
〈…忘れよう。。〉
走りすぎて火照った頬を冷やすために、バッグに入っていたお茶をゴクリと飲み込んだ。。
ぬるい風が教室のカーテンをふわりと舞いあげた時の君の表情に、私は思わずシャッターを切った。それが…きみとの始まりだった。
夏野山高校、初夏。鋭い日差しが校舎の中に入ってくる。下敷きで仰ぐ生徒、スカートを短くする生徒、そして長袖ロングスカートの生徒。
まぁ、私なのだけれど…。
夏野山高校、春。私たち1年生は入学式を迎えた。入学したてで静かだった教室も3ヶ月も経てば色んな人の話し声や笑い声の聞こえる、活気の溢れる教室になっていた。そんな中、前の席に誰とも話さず一人で座る生徒が1人。
まぁ、私なのだけれど…。
気にしては無い。中学の時もそうだった、誰1人友達ができず、一人教壇の前で本を読んでいるようなそんな人間だった。でも、少しだけ変わったことがある。
「ねぇ」
「ん?どうしたの?」
「写真撮ってよ、うちら」
「え、あぁ!うん!いいよ!」
クラスの女の子に少しだけ話して貰えるようになったのだ。まぁというのも、、
「とるよ〜!ハイチーズ!」
カシャッ!
「どうかな?」
「いんじゃね?いーでしょ?これで」
「いーよー」
「あんたにまかせるわー」
「はぁ?w任せんなしwwwまぁいいや、じゃあこれで、後でLINEで送っといて」
「うん、わかった。」
うちの学校では、スマホを使うのを禁止されている。校内でスマホを使っているのを見つけた場合ただちに没収という現代でスマホを使う若者にとっては苦痛な罰が待っている。そこで、彼女たちが目に着けたのが私である。私はこの高校に入った新入生で唯一の写真部員なのだ。うちの学校の写真部は、活動数や活動日は少ないが、スマホでの写真撮影は認めておらず、一眼レフまたはちゃんとしたカメラを持っていないと写真部の入部は認められない。それなら他の部活でいいやと、写真部に入る生徒は居なくなり、もともと写真を撮るのが好きな私一人になってしまったのだ。この学校の1年生で常にカメラで撮影を出来るので、彼女たちにとっては都合のいい女なのである。言い方悪くなっちゃったけど…。
でも、学校で話しかけられるのは本当にその時しかない。それ以外の時は友達のいないぼっちだ。もう慣れたし別になんとも思わないけれど。
そんなことを考えていたら、放課後になっていた。今日は1週間に1度しかない部活動の日なのだ。私はHRが終わると、支度をし部室を目指して歩き出した。
(部室、別館にあるから遠いんだよな…)
教室がある棟とは別の、別館というところの一番端の教室なので、たどり着くまでが大変だ…。
やっと部室に近づいてきた頃、ふと今日提出するはずの写真を忘れたことに気づいた。最悪だと思いながら教室に戻ることにした。
(まだ誰かいたら気まずいなぁ…)
なんて思いながら、自分の隣のクラスを通り過ぎようとした時人影が見えた。まだ帰っていない人がいたのかな?と思い少し覗いてみると、そこには優しい顔をした髪の長い男の子がいた。窓際に肘を置いて外を眺めている姿が、沈み始めた太陽に気に入られているかのように教室とマッチしていて、美しかった。。私は瞬時にカメラを手に取り、シャッターを切った。
カシャ
静かな教室と廊下にシャッター音が響く。すると同時に男の子が驚いたように振り返った。
「あ、」
「…あ」
目が合った。美しい緋色の目だった。吸い込まれそうな瞳にどうしたらいいのか分からなくなって何も言わずに教室へ走った。。
(何してるんだ私…!!これじゃ盗撮と一緒じゃんか!!!)
罪悪感なのかなんなのか、私には分からないけれど、この胸の高揚感は多分罪悪感とは違う物な気がする…。
〈…忘れよう。。〉
走りすぎて火照った頬を冷やすために、バッグに入っていたお茶をゴクリと飲み込んだ。。