星降る夜に
聞き間違えるはずもない。
ちょっと鼻声だが、間違いなく、月に旅立ったはずの・・・。


「せっかくの再会だっていうのに、なんでそんな顔するかなぁ。」

ゆっくり歩いてきて、俺の隣に腰を下ろす。


「一体これってどういう事なんだよ?
説明しろよ・・」

「嘘ついちゃってごめんね。本当は21時発だったんだ。」

俺は慌てて時計を確認するが、

「あはは、もう時間なんて気にしなくていいよ。あたし、結城と一緒に地球にいるって決めたから」

「え・・・でも・・」

「うん、お父さんとお母さんね、一昨日の夜ね・・・あたしが寝たあと泣きながら話してたんだ・・・本当は夏海に家に残ってほしいって、でも苦しい生活なんかさせれないからって。もしあたしがかえってくるなら、会社がなくなっても、一からやり直す覚悟はあるって・・・。

でも、お父さんにも、お母さんにも苦しい生活なんてしてほしくなくて・・・
もうあたしどうすればいいのか、わかんなくなっちゃってさ。」

話す夏海の目から零れる雫が、月の光を受けて悲しみの色に輝く。


「だから決めたの。結城に賭けようって。
今日結城が来てくれたら、あたしがここに居ていいんだって思わせてくれる人がいたなら
地球に残ろうって」


俺は精一杯、夏海を抱きしめた。

「なんだよ、心配ばっかさせやがって。
さっきなんて本当にもう行っちゃったのかと思ったっての」

「ごめんごめん。でもね、あたしだって辛かったんだからね
もし結城が来てくれなかったら、どうしよう・・・って」


「バカ。来ないわけないだろ」

「本当に来てくれてありがとね、なんかこんな場所で会えるなんてロマンチックだよね」

そう言われて、外に目を向けると、眩いばかりの星達、青く輝く地球、そして月。
そんな神秘的な光景に二人して言葉を失う。





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