夕陽を映すあなたの瞳
 「ではでは、久しぶりの再会に…」
 「かんぱーい!」

 9月の終わり。
 ようやく4人は都合を合わせて、久しぶりに集まっていた。

 「なんだかんだで、4ヶ月ぶりかあ。元気にしてた?心」

 愛理に聞かれて心は笑顔で答える。

 「うん、元気元気!愛理は?忙しそうだね、慎也くんと」

 声を潜めてそう言うと、愛理は気まずい表情になる。

 「ごめんねー、心に全然連絡出来なくて」
 「いいのいいの!愛理が幸せそうならそれで。良かったね!」
 「うん、ありがとう!」

 顔を見合わせて笑っていると、慎也が話し出す。

 「同窓会なんだけど、せっかくだからさ、これから毎年企画しないか?」
 「へえ、いいね!毎年ゴールデンウィーク明けとか?」

 昴の言葉に慎也は頷く。

 「ああ。今回出席率良かったのは、みんなあの辺りが都合つきやすいんだと思うしな」
 「そうだね」

 心が頷くと、愛理も身を乗り出す。

 「それにさ、二人が探してくれたあのレストラン、凄く好評だったよ。みんなSNSに、綺麗な夜景の写真アップしてたし」
 「そうなんだ!良かったー、ね?伊吹くん。そう言えば、割引チケットもらったよね。近いうちに食べに行こうかな。片桐さんにお礼も言いたいし」

 心がそう言った途端、慎也が肘でグイグイと昴を押した。

 ん?と思って見ると、慎也がジェスチャーで、いけ!と促している。

 (そうか、今がチャンスか!)

 昴は慎也に頷き、心を誘う。

 「じゃ、じゃあ一緒に行かないか?」

 心は昴を見てにっこり笑った。

 「そうだね!そうしよう。いつがいい?」
 「あ、俺はいつでも」

 頬を緩めながら昴がそう言うと、心は続けた。

 「私も夜なら都合つくよ。慎也くんと愛理は?いつがいい?」
 「え?いや、俺らは、その…」

 慎也が戸惑いながら横目で隣を見ると、昴はがっくりと肩を落としていた。
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