夕陽を映すあなたの瞳
 だんだんと寒さが増し、季節はゆっくりと冬へ移り変わる。

 水仕事が辛くなる時期だが、心はイルカ達と触れ合える日々を大切に過ごしていた。

 昴はまた2週間ほど海外出張に行っており、今回は出発前に会う機会がなく、特に部屋のキーを預かることもなかった。

 なんとなく連絡も疎遠になり、心はどこか寂しさを感じていた。

 (あーあ、夏は楽しかったな。サラと3人でまた遊びたいな)

 休日に、スマートフォンを片手にベッドの上でゴロゴロしながら、花火大会の時に撮った写真を眺める。

 (懐かしいな。サラ、元気かしら。そうだ!)

 心はガバッと起き上がるとパーカーを羽織り、街に出かけた。

 スマートフォンの中に保存してある写真を印刷すると、クリスマスカードを買う。

 (ふふっ、サラ喜んでくれるかな)

 日が暮れた帰り道は寒かったが、心は気持ちがポカポカと温かくなるのを感じた。
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