夕陽を映すあなたの瞳
 花火大会の写真と一緒にクリスマスカードを送ってしばらくすると、サラから小包が届いた。

 「えっ、何これ?!」

 開けてみると、綺麗なブルーのペアグラスが出てきた。

 光にかざしてみると、ブルーのグラデーションがまるで揺れる波のように美しい。

 「素敵…」

 思わずため息をつくと、ふと、下の方に小さく描かれたイルカを見つける。
 そしてその横には Cocoの文字。

 「も、もしかして、オーダーメイド?!」

 もしかしなくてもそうだろう。

 心はハッとしてもう片方のグラスを手に取る。

 同じように描かれたイルカとその横には、Subaruの文字。

 「いやいや、サラ。私に渡されても…」

 苦笑いしつつ、心はもう一度グラスを眺め、嬉しさに微笑んだ。

 「ありがとう、サラ。ずっと大切にするね!」

 そしてようやく、同封してあったカードを開く。

 中には1枚の写真が挟んであった。

 「わー、サラ!素敵」

 そこに写っていたのは、あの黄色の浴衣を着て微笑むサラと、家族と思われる人達。

 「サラ、上手に浴衣着られてるね。隣のおじいさんが有名な、なんとかオーだっけ?って、ここどこ?家なの?凄いんだけど!」

 よく見ると、後ろには暖炉、天井からはシャンデリア、そして座っているソファや写っている家具も、高級感が溢れている。

 「サラ、ほんとに超お嬢様だったんだー。なんだか遠くの人に感じちゃう」

 それでもきっと、また会った時には一瞬で仲良しの友人に戻れるだろう。

 そんな日を想像して、心はまた笑顔になった。
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