夕陽を映すあなたの瞳
 「それで、伊吹くん。私に電話くれたのは、何か用事があったの?」

 しばらくして、ようやく心は思い出したように言う。

 「うん。ほら、年末に久住が渡したいものあるって連絡くれただろ?でも俺、海外にいて」
 「あー、そうだったね。それで、年明け落ち着いたらまた連絡するって言ってたんだった」
 「そう。でもなかなか連絡こないから、こっちから電話したんだ。久住、渡したいものって何?」

 心は、ちょっと待っててと言って立ち上がると、キッチンの棚から箱を取り出して戻った。

 「これね、サラから届いたの。開けてみて」
 「え、サラから?なんだろう」

 昴がそっと箱を開けてグラスを取り出す。

 「へえー、綺麗なグラスだね」
 「そうなの。それでね、ほら、ここ見て」
 「ん?スバル…、え、俺の名前?」
 「そう。オーダーメイドで作ってくれたみたい。ちなみにこっちは私の名前。イルカも描かれててかわいいでしょ」
 「本当だ。凄いなー、これ」
 「これを伊吹くんに渡したかったの。サラからのプレゼント」
 「そっか。ありがとう!サラにも今度お礼を言っておくよ」
 「うん!」

 心は笑顔で頷いた。
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