夕陽を映すあなたの瞳
 「伊吹様、お待ちしておりました。本日もご来店ありがとうございます」
 「片桐さん、ご無沙汰しております。今日はよろしくお願いいたします」

 顔馴染みのレストランのマネージャーとにこやかに会話し、ようやくいつもの調子を取り戻した昴は、心を振り返って紹介する。

 「片桐さん、こちらは私の高校時代の同級生、久住さんです」
 「初めまして、久住と申します」
 「これはこれは。伊吹様がこのような素敵なお嬢様とご一緒にいらっしゃるなんて。当店のマネージャー、片桐と申します。お目にかかれて光栄です」

 丁寧にお辞儀をしてくれ、心も笑顔で、こちらこそと頭を下げる。

 昴と心は個室に案内され、まずはこちらをどうぞとドリンクを勧められた。

 「わあ、美味しい!」

 冷たくてフルーティーな味わいのジュースに、思わず心は声に出してしまう。

 「ありがとうございます。そちらは当店オリジナルのフルーツミックスでございます。マンゴーやパイナップル、オレンジなど、その時々のフレッシュな果物を使って作っております」
 「へえ、だからこんなに深い味わいなんですね。まろやかでみずみずしくて、本当に美味しいです」

 そう言って、またゆっくりジュースを味わう心に、片桐も昴も嬉しそうに笑みを浮かべた。
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