夕陽を映すあなたの瞳
 「いえーい!今日も朝まで盛り上がっちゃうぜー!」

 二次会はカラオケに場所を移し、早速慎也が張り切ってマイクを握る。

 去年と同じように、心は昴とお金を計算し、皆から集めて回った。

 「久住、明日も仕事だろ?時間大丈夫か?」

 昴の問いに心は頷く。

 「うん。明日は遅番だから、朝もゆっくり出来るの。あ!でも、終電の時間よね。今年は間違えないようにするね」
 「ああ。早めに出よう」

 集めた会費を愛理に預け、心は昴と外に出た。

 二人で肩を並べて駅へと向かう。

 「あれから1年か。なんかあっと言う間だったな」
 「うん、そうだね」
 「また来年も、あっと言う間にやって来るのかな」
 「うん、そうかもね」

 昴は、そっと隣の心を見る。
 さっきから、どうにも元気がないのが気になっていた。

 「久住、何かあった?」
 「え?どうして?」
 「んー、なんか途中から元気なくなったから。同窓会で、何かあったのか?」

 すると心は押し黙ってうつむく。

 「久住、俺には何でも本音で話してって言ったよな?」
 「あ、うん」
 「考え込まなくていいから、思ってること言ってみて?」
 「えっと、じゃあ…」
 「うん。何?」

 心は歩きながら、そっと上目遣いに昴の顔をうかがう。

 「さっき、伊吹くんが真紀に告白されてたのを、偶然聞いちゃって…。それで、その。伊吹くん、つき合ってる人がいるって言ってて…」
 「…うん。それで?」
 「いや、その。あー、そうなんだって思って」
 「それで?そこから元気がなくなったの?」
 「うーん、そうなの、かな?」

 昴は足を止めた。
 心も立ち止まり、二人で向かい合う。
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