夕陽を映すあなたの瞳
第四章 思わぬアクシデント
 「クララー、おはよう!」

 カマイルカのクララに声をかけながら、心は朝の体調チェックをする。

 (体温も正常、うん!今日も元気そうね)

 にっこり笑ってクララの体をなでていると、スーッと音もなくバンドウイルカのルークが、クララの後ろを横切っていく。

 心と目が合った瞬間、ルークがニヤリと笑った…ような気がした。

 (マズイ!)

 心がそう思うのと、ルークがチャポンと水中に潜るのが同時だった。

 慌てて立ち上がり、その場を離れようとした瞬間…。

 バシャーン!!

 ルークがわざと水しぶきを上げるように派手にジャンプし、心は頭からザバーッとプールの水を浴びた。

 「ル、ルークー!!」

 ずぶ濡れで叫ぶ心の前を、ケケケケ!と笑いながらルークが泳いでいった。
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