夕陽を映すあなたの瞳
 「それで愛理に相談したら、高校時代の写真や動画を上映したら?って」
 「へえ、いいかも」
 「でしょ?卒業アルバムの写真と、あとは愛理もいくつか動画持ってるって。体育祭とか文化祭とかの」
 「そうなんだ!じゃあ俺も、慎也に聞いてみるよ」
 「うん、お願い」

 同窓会で、ただ皆でおしゃべりするフリータイムだけっていうのもなあ…と、心は愛理に相談してみた。

 すると、当時の写真や動画をプロジェクターで見るのも楽しいんじゃない?と言われ、早速昴に話してみたのだった。

 メッセージのやり取りだと打つのも面倒で、最近は直接電話で話していた。

 「それで、写真や動画が集まったらどうするの?編集は?」

 昴の問いかけに、心はちょっと考え込む。

 「とりあえず、私がやってみようと思ってるんだ。難しいことは出来ないけど、何かいいアプリとかあれば何とかなるかなって。色々調べてみるね」

 それなら、と昴が言う。

 「俺で良ければやろうか?仕事柄、プレゼン用に動画作ったりするからさ。うちのパソコンに動画編集ソフトをインストールしてあるんだ。有料のやつだから、割とちゃんとしたのが簡単に出来るよ」
 「えっ、いいの?!」
 「もちろん!」
 「でも、伊吹くん忙しいんじゃないの?時間ある?」

 ははっと、昴は明るく笑う。

 「久住、いっつもそう言うけど、一体誰から聞いたんだ?俺、別に24時間働いてる訳じゃないぞ?」
 「あ、そうなの?」
 「当たり前だろ!単に、海外出張が多いってだけだ。でもそれも、最近は落ち着いてるから、家でのんびりする時間もあるよ」

 そうなんだ、と心は納得し、編集をお願いすることにした。

 「じゃあ、写真や動画は伊吹くんに送ればいいかな?」
 「うん、それでもいいけど…」

 昴は一旦言葉を切ってから、心に提案した。

 「久住、一緒に作ってくれないか?」
 「え、一緒に?でも私、何も出来ないよ?」
 「相談させてもらいたいんだ。これでいいか?とか。俺一人だと、どういうのがいいのか分からなくて不安でさ」

 確かに、それはそうかもと、心は頷いた。

 「分かった。じゃあ、一緒に作ろう!」
 「助かるよ。今度の週末でもいい?」
 「えっと、ちょっと待って」

 心は、鞄の中に入れっぱなしのシフト表を取り出す。
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