夕陽を映すあなたの瞳
 「佐伯!大丈夫か?」

 ショーが終わり、バックヤードに戻った途端その場にうずくまった佐伯を、皆で囲む。

 「佐伯さん!どこか怪我は?」

 心もそばにひざまずき、佐伯の顔を覗き込んだ。

 「…大丈夫だ。ちょっと強く身体を打っただけだ」

 そう言う佐伯の声はかすれていた。

 「とにかく、ベッドへ」

 桑田が言い、佐伯に肩を貸しながら休憩室のベッドへ寝かせる。

 心がすぐさまウェットスーツのファスナーを下ろすと、佐伯は苦しげに息を吐き出した。

 「佐伯、すぐに病院へ行こう」

 桑田の言葉に佐伯は首を振る。

 「いや、少し休めば大丈夫です」
 「ダメだ。何がなんでも連れて行く。下に車を回して来るから、皆で佐伯を運んできてくれ」

 有無を言わさない桑田の口調に、心達は頷いた。
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