夕陽を映すあなたの瞳
 "よーし、これで大体揃ったよな?"

 そう送ってきたのは、クラスのムードメーカーだった慎也(しんや)だ。
 どうやら、同窓会をしようと話を持ち出したのも彼らしい。

 "えー、久しぶりにみんなで集まらないか?ゴールデンウィーク明けとか、どう?"

 いいね!と、一気にたくさんのスタンプが付く。

 "じゃあ、まずは幹事決めるか!"
 "え、慎也がやるんじゃないの?"

 皆も、ウンウンとスタンプを押す。

 "俺がやってもいいんだけどさ。それだと俺の意見ばっかりになっちまうから。誰か二人くらい幹事になってもらって、俺は手伝う感じにするよ"
 "ははっ、なんか韻踏んでるな。手伝う幹事?"

 大笑いするスタンプが、いくつか続く。

 "そっ!俺は手伝う幹事で(笑)"
 "オッケー!じゃあ、どうやって幹事決める?誰かやりたいやついる?"

 うーん…、と悩むスタンプ。

 "じゃあさ、当時の出席番号で決める?"
 "お、いいね。そうしよう"
 "何番にするー?"
 "そしたら、今日の日付けとかどう?"
 "うんうん。いいんじゃない?"
 "今日は4月15日だから…。4番と15番ね"
 "了解ー!って、4番と15番って誰?"

 それな!とスタンプが付く。

 (あはは!ほんと、誰なんだろう?誰も覚えてないよね)

 "おーい!誰か卒業アルバム持ってないかー?"
 "実家にあるけど、今ひとり暮らしだから、すぐには分かんなーい"
 "あ、私、実家暮らしだから、これから見てみるね!"

 よろしく!お願い!と、いくつかのスタンプが並んだ時、自宅の最寄り駅に電車が到着し、心はスマートフォンを閉じた。
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