夕陽を映すあなたの瞳
 「おおー、いいね!さらに感動的!」

 仕上がった動画を観て、心はパチパチと拍手する。

 「みんなも喜んでくれるかなー。楽しみだね!」

 にっこり笑う心に、そうだな、と昴も微笑む。

 心は、夕陽が完全に沈むと同時に吹っ切れたような笑顔をみせ、二人はもう一度作業に戻っていた。

 「これでひとまず完成かな?」
 「うん、ありがとう!伊吹くん」
 「こちらこそ。あ、今コーヒー淹れるよ」

 キッチンに立つ昴に、心が声をかける。

 「ねえ、担任だった河合先生って、誰か連絡先知ってるかなあ?せっかくだし、先生も同窓会にお誘いしない?」
 「ああ、確かにそうだな。うん、誘おう。河合先生って確かサッカー部の顧問だったよな?」

 コーヒーをテーブルに置きながら、昴が思い出したように言う。

 「そっか!そうだったね。じゃあサッカー部だった子に聞けば…」

 そして二人は同時に同じ人物を思い浮かべた。

 「慎也だな」
 「うん、慎也くんだね」

 ふふっと笑う心に、じゃあ早速聞いてみるかと昴がスマートフォンを手にする。

 すると、ふいに着信のメロディが鳴った。

 「うわっ、びっくりした。誰からだろ…」

 表示を見た昴は、ちょっとごめんと心に断り部屋を出て行く。
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