夕陽を映すあなたの瞳
 「うわー。なんかいい匂いだな」
 「そう?ふふふ」

 フライ返しで焼き色を確かめながら、心は隣から覗き込んでくる昴に笑いかける。

 消費期限切れになる牛乳や卵、食パンを使い切ろうと、心はフレンチトーストを作っていた。

 バターをたっぷり使うと、良い香りが立ち込める。
 きつね色に焼き上げると、皿に盛り付けた。

 「はい!出来た。良かったら明日の朝食べてね」
 「ありがとう!うまそうだなー。楽しみ」
 「あと、他にも少し食材残ってたけど、今日の晩ごはんに何か作ってもいい?」
 「え、いいの?」
 「うん。大したものは出来ないけど」
 「いや、助かるよ!廃棄するのはいつも気が引けてたから」

 心は昴ににっこり笑うと、もう一度冷蔵庫を開けた。
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