夕陽を映すあなたの瞳
 「そう言えば久住さ、同窓会の日にちは決まったのか?」

 しばらくして桑田が、思い出したように心に聞く。

 「あ、はい。5月13日の土曜日です」
 「その日、お前のシフトどうなってたっけ?」
 「早番で17時上がりです。同窓会は19時からなので、充分間に合います」

 すると桑田は、うーん、と手を止めて考え込んだ。

 「いや、お前その日休みにしろ。せっかくの同窓会に魚臭さを気にしたくないだろ」
 「え?でも、土曜日なのに。大丈夫ですか?」
 「大丈夫、俺がシフト代わるよ」

 ふいに聞こえてきた声に、皆は驚いて入り口を振り返る。

 「佐伯さん!もう大丈夫なんですか?」

 いつの間に来たのだろう、照れくさそうに笑う佐伯が立っていた。

 「ああ、もう大丈夫だ。みんな、迷惑かけて悪かった」
 「そんな!迷惑だなんてとんでもない」
 「そうですよ。佐伯さんが無事で本当に良かったです」
 「でも佐伯さんがいない間は、なんか心細くて」
 「確かに。俺達、佐伯さんに頼り過ぎてました。これからはもっとがんばります!」

 佐伯は、周りを取り囲む皆の言葉を笑顔で聞いていた。

 (良かった、佐伯さん元気そう。それにほんと、いてくれるだけで安心する)

 心も微笑んで、皆の様子を嬉しそうに見つめた。
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