夕陽を映すあなたの瞳
第七章 勘違い妄想?
 「あ、心ー!こっちこっち」

 待ち合わせのカフェに入ると、奥のテーブルで手招きしている愛理と慎也の姿があった。

 「ごめんね、お待たせしちゃって」

 愛理の横の席に座りながらそう言うと、全然!と愛理が笑う。

 「こっちこそ、仕事終わりに呼び出して悪いな」

 慎也もそう声をかけてきた。

 「ううん。私も気分転換になるし、楽しみにしてたの。あ、ドリンク買ってくるね」
 「いいよ、座ってな。何がいい?」
 「えっと、アイスのカフェモカにしようかな」

 オッケーと、慎也はカウンターに向かう。

 今日はゴールデンウィークの中日。
 休みの取れない忙しい毎日だが、今日の心は15時上がりの時短勤務の日だった。

 昴がサンフランシスコへ行き、幹事の仕事を心配した慎也と愛理が、心に会わないかと声をかけてくれたのだった。

 「愛理は慎也くんと朝から会ってたの?」

 心が聞くと、愛理は首を振る。

 「ううん。さっき来たところ」
 「あれ?そうなの?てっきり、どこかに遊びに行ってるんだと思ってた」
 「え、なんで?」
 「なんでって。つき合ってるんだから、デートくらいするでしょ?」

 すると愛理は、ゴホッと飲んでいたコーヒーにむせ返る。

 「大丈夫?愛理」
 「だ、大丈夫じゃない!心、一体いつの話をしてんのよ。私が慎也とつき合ってたのなんて、高校の時だよ?しかも高2の1年間だけ!」
 「えっ!そうだったの?知らなかったー」

 愛理は、はー?と冷めた目で心を見る。

 「心って、本当にそういう恋愛話に疎いんだね。今もそうなの?彼氏は?」
 「いないよ」
 「やれやれ、作ろうと思えば作れるのに」

 ん?どういうこと?と思っていると、慎也が戻ってきた。
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