夕陽を映すあなたの瞳
 「わあー、こころーん、愛理、久しぶり!」

 時間になり、懐かしい顔ぶれが次々と現れる。

 皆、口々に
「心も昴も、幹事ありがとう!」
と二人をねぎらってくれた。

 受付は愛理達に任せ、昴と心は、会場内をパタパタと行き来する。

 座席や荷物置き場を聞かれたり、片桐達スタッフから、料理やドリンクの説明を受けたり…。

 さらに、ビンゴの景品を持って来てくれる人達からこっそり預かったりと、やることは多く、昴と心は何度も互いに呼び止めては確認していた。

 担任だった河合先生も到着し、いよいよ同窓会は、先生の乾杯の音頭で幕を開けた。

 まずは皆、食事を楽しむ。

 「お料理たくさんあるねー」
 「このフルーツジュース、すっごく美味しい!」

 そんな女の子達の言葉に、心は嬉しくなった。

 しばらくはそれぞれ、食事と歓談の時間が続く。

 遅れてくる人達を入り口近くの受付で待っている愛理に、慎也が料理を盛り付けたプレートを持って行った。

 「はいよ。食べな」
 「ありがとう。おっ、私の好み分かってるねー」
 「まあね。一応俺達つき合ってた訳だし。あの時は毎日一緒にいたよなー」
 「ほんと。暇だったのかしら?」

 おい、と慎也が突っ込み、愛理は笑う。

 「ね、それよりさ、ここからみんなを見てるとおもしろいよー」

 受付に並んで座り、料理を食べながら愛理が慎也に小声で話す。

 「あそこに真紀(まき)達3人組がいるでしょ?あの子達さっきから、ヒソヒソ話してはチラッと昴を見るの」
 「ほんとだ。高校の時のまんまだな」
 「そう。3人とも、ああやっていつも遠くから昴を見てたよねー」
 「今も好きなのかな?」
 「どうだろうね?久しぶりに会って、また好きになったのかもしれないし。それと、ほら。あっちの壁際にいる光太郎、じーっと心のこと見てるよ」
 「おおー、これまた懐かしい!あ、それならあそこの健一もじゃないか?」
 「そうなの。でね、1番気にしてるのは瑞希(みずき)。あ、ほら、今も心のこと目で追ってる。あれはもしかして、今日アクション起こすかもよー?」
 「ええー、マジか!気になるわ」

 すると、心がこちらに近づいて来た。

 「愛理、慎也くん、ごめんね。ちゃんと食べてる?」
 「食べてる食べてるー!どうぞお気遣いなく」
 「そう?あと1人だよね、遅れて来る人。全員揃ったら二人もこっちに来てね」
 「はいはーい!」

 二人は笑顔で心に手を振ると、また恋の行方を見守った。
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