夕陽を映すあなたの瞳
 やがて全ての景品がなくなりビンゴは終了、動画の上映まではデザートタイムとなった。

 皆はまた、ビュッフェカウンターで賑やかにデザートを選び、おしゃべりを楽しむ。

 オープンテラスからの夜景も綺麗で、女の子達は次々と写真を撮っていた。

 昴は、二次会のお店の地図を手に、テラスの入り口にいる心のもとへ行く。

 「久住、このあとの移動なんだけど…」

 そう言って顔を上げた時、心に話しかける声が聞こえてきた。

 「心って、今つき合ってる人いるの?」

 思わず昴は、近くの観葉植物の後ろに身を潜める。
 そっと覗いてみると、瑞希が心に話しかけていた。

 「ううん、いないけど」
 「そっか。それなら、その…。俺とつき合ってくれないか?」
 「え?」

 思わぬ話の展開に、昴は悪いとは思いつつ気になって仕方なく、固唾を呑んで聞き耳を立てる。

 「実は俺、心のこと高校の時ずっと好きだったんだ。でも告白する勇気がなくてさ、卒業してから後悔した。だから今日こそは告白しようって思ってたんだ。俺と、つき合って欲しい」

 ゴクッと昴は唾を飲み込む。

 すると、いつもと変わらない口調の心の言葉が聞こえてきた。

 「瑞希くん。私ね、真っ白なワンピースは着ないし麦わら帽子もかぶらないの。だから、私とはつき合わない方がいいと思う」

 は?と、瑞希と同時に昴も呟く。

 心は、じゃあねと言ってその場を去り、瑞希と同じように昴も呆然と立ち尽くした。
< 52 / 140 >

この作品をシェア

pagetop