夕陽を映すあなたの瞳
 (なんなんだ?あのバッサリした断り方。しかも言ってることが分からん。また宇宙人の降臨か?一刀両断な宇宙人。あんなやられ方して、瑞希…、大丈夫かな?)

 先程見たシーンが頭から離れず、昴はコーヒーを飲みながら考え込んでいた。

 「伊吹くん、デザート食べた?」

 急に心が目の前の席に座り、昴は慌てふためく。

 「た、た、食べた、と思う」
 「何言ってんの。コーヒーしか飲んでないじゃない。はい、どうぞ」

 そう言って心は昴の前に、ティラミスやアイスクリームを載せたプレートを置く。

 「あ、ありがとう」

 昴はうつむいたまま、小さく食べ始めた。

 「んー、9時になったら動画上映してお開きにしようか。少し早めだけど、みんなすぐには動きそうにないもんね」
 「ああ、そうだな」
 「じゃあ、そろそろパソコンの準備お願いね」
 「うん、分かった」

 ようやく落ち着きを取り戻し、昴は頷いた。

 時間になり、大きなスクリーンに昴が編集した動画を流す。

 照明を落とした会場内に、音楽と共に次々と映し出される写真。

 皆は、
「懐かしい!」
「わー、先生若いね!」
「あはは!見てあの慎也のはしゃいだ顔」
など、楽しそうに鑑賞する。

 文化祭や体育祭、そして卒業式…

 まさに泣き笑いの表情で皆は動画を見つめていた。

 やがてゆっくりと画面が白くなり、終わりを告げると、一斉に拍手が起こる。

 「とっても良かったー、感動的!」
 「ありがとうね、昴」
 「この動画、送ってくれない?保存したいの」

 昴は笑顔で頷いた。

 「分かった。あとでグループメッセージに送っておくよ」

 同窓会は大いに盛り上がり、皆は満足そうに、そして名残惜しそうに会場をあとにした。
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