夕陽を映すあなたの瞳
第十三章 沙良とSarah
 「心ちゃーん!」
 「沙良さん!」
 「きゃー!また会えて嬉しい!」

 仕事がオフの日、約束の待ち合わせ場所に行くと、沙良は大きく両手を広げて心にハグをした。

 あの日からまだ1週間。
 沙良は早速心に、美味しいカフェがあるから一緒に行こうと誘ってくれたのだった。

 席に座るなり、沙良が真剣な顔で聞く。

 「体調は?もう平気なの?」
 「はい!お陰様で。沙良さんには本当にお世話になりました。これ、ささやかなんですけど、お礼です」
 「ええー?!そんな、いいのに…」

 心が差し出した小さなペーパーバッグを、沙良は戸惑いながら受け取る。

 「そんな大したものじゃないですから。紅茶とサブレ、あとアロマキャンドルです」
 「へえー、開けてもいい?」
 「もちろん」

 沙良は、ワクワクした様子で中身を取り出す。

 「わあー、素敵!何この綺麗なパッケージの紅茶。それにサブレも、美味しそう!」
 「ふふ。それから、アロマキャンドルは、イルカのガラス瓶なんですよ」
 「え、本当だ!かわいいー!キャンドルを使い切っても、このイルカの瓶はずっと使えるのね。素敵ー!ありがとう、心ちゃん」

 喜んでくれる沙良に、心も嬉しくなって微笑んだ。
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