夕陽を映すあなたの瞳
 平日のカフェはそこまで混んでおらず、心は沙良のオススメのラザニアとデザートのセットを注文し、二人でおしゃべりしながら味わう。

 「はあー、とっても美味しい!」
 「でしょ?ここのラザニア、時々無性に食べたくなっちゃうのよねー」
 「分かります。私も、絶対また食べに来たくなります」

 食後のデザートと紅茶は、おしゃべりがメインになってしまう。

 「それでね、彼ったら、心ちゃんがうちに来た日、どんな話をしたのか気になるみたいでね」

 沙良は、思い出したのか、ふふふと笑いながら話す。

 「お前、余計なことは言わなかっただろうな?とか言うの。余計なことって?って聞いたら、いや、別に…って黙るのに、しばらくしたらまた、変なことは言わなかったか?って」

 あはは!と心も想像して笑う。

 「それで私もまた、変なことって?って聞くでしょ。そしたら、いや、別に…って。もうこれのループよ」

 ヒー!と、心は笑いすぎて苦しくなる。
 そして、目元の涙を拭いながら沙良に話す。

 「私も職場で、沙良さんの話をしたかったんですよ。でも桑田さん、凄い圧をかけてくるんです。私がまだ何も言ってないのに、その話はするなよ、みたいに、目で訴えてくるんですよ」
 「ええー!?もう、やだわー」

 今度は沙良が大笑いする。

 「あーあ、桑田さんからも沙良さんの話聞きたいなー。そう言えば、お二人の結婚式ってもう決まってるんですか?」
 「うん。彼の仕事が忙しい時期は避けて、来年の1月にしようって」
 「うわー、楽しみ!…って、私は招待して頂けますか?」
 「もちろん!心ちゃんを置いて誰を招待するのよ?」
 「ありがとうございます!うふふー、本当に楽しみ」
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