夕陽を映すあなたの瞳
 それからしばらくして、心は一人でサラのマンションを訪れていた。

 あの時100円ショップで買ったつまみ細工のキットを、二人で一緒にやることにしたのだ。

 昴は仕事で来られないが、サラは割と時間が自由に使えるらしく、心の休みに合わせて会おうと、直接連絡を取り合った。

 サラの部屋は、あの日に買った数々の雑貨で、明るい雰囲気の部屋に変わっていた。

 あの時買ったティーポットで紅茶を淹れてくれる。

 心が持って来た手土産のお菓子を食べながら、ふと心はサラに聞いてみた。

 「Sarah. Subaruってpronunciation難しくない?」
 「アー、not so difficult ヨ。ダッテ、it’s same as Japanese famous car company name デショ?」
 「あー、スバルね。確かに」

 するとサラは、思い出したように笑いながら、あるエピソードを話してくれた。

 サラのアメリカの会社に初めて昴が来て自己紹介した時、ジョンという同僚が、車のメーカーと同じ名前だね!と言ったのだそう。

 なるほど、それなら覚えやすいねと皆で頷いたが、次に昴に会った時、そのジョンは…

 「Can you believe this? John said to him ”Hi ! Hondaサーン !”ッテ」

 ブハッと心は思わず吹き出す。

 「惜しい!The company is different 」
 「Yeah, that was so funny」

 二人でしばらく笑い転げる。

 (あー、だめだ。今度伊吹くんに会ったら、本田さーんって言っちゃいそう)

 想像して、心はまた笑い出した。
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