「ガールズピンポン!」
「よくやった。どの相手も我慢強かったでしょ。相手がどうせめてきたか、サーブの回転をかけてきたか見たと思う。家で振り返って、卓球ノートに書いて、明日は撮っていたビデオを鑑賞して、対策を考えていくから。以上」
 先生は腰を両手につけて、軽く拍手をした。
卓球部メンバーは先生に礼を言って、仲間同士をほめて帰った。
「…すごかったよね…」
 夏海が一年生全員と並んで歩いていると、言った。
 さあやはそうだねと返事をした。隣にいた恵子は両手を頭につけて、ため息をついた。
「私……あんな風になれるかな」
 恵子はいつも自信満々だが、先輩たちの試合を見たら、落ち込んでいるようだった。
 ミカはリュックから本を取り出して持ちながら、恵子にそうかなと言っていた。
「恵子なら大丈夫な気がするけど…」
 桃は真正面に向いたまま、言った。
「うん。私もあの試合見たら、怖くなるし…。今後やっていけるかどうか不安だよ」
 私もカバンの中にあった下敷きであおいで、恵子に言う。
「…あはは。そうよね、うんうん…」
 恵子はさっきほどよりも目元をゆるませた。
「…七月にある一年生だけの集まりの卓球練習会あるじゃん。先輩たちも参加するらしい」
 桃は卓球練習会のことについて話をかえた。
「先生に聞いたの?」
 私は桃に聞くと、頷いた。
「…そう、先生に聞いたら先輩たちも来て、練習するらしい。一年生は絶対参加で書いているだけで、あとはなん年生でもいいらしい」
 桃はうんと返事をして、答えてくれた。
 卓球練習会の話題で持ち切りだったが、ミカは急に現実的な言葉を言い放つ。
「…その前に、初めての中間テストあるでしょ。勉強しなくちゃ」
 ミカは本を片手に持って、一年生全員は一斉にミカの方を見て、いじった。
「ミカ。空気読んでよ~」
 夏海はバンとミカの肩を叩いて、はぁーと声を発した。
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