「ガールズピンポン!」
 私たちはありがとうございましたと返事をしてから、礼をした。見学者と私を含めて、もう十六時過ぎになっていたので帰る準備をした。私は右肩に鞄をかけた。
 だいたい小学生からの持ち上げで、見学者たちは誰ひとりも知らないとは思わなかった。
 私が興味ないのか知らなかっただけなのかは分からない。
 幼馴染ふたり組は仲良さそうにしている割にはもうひとりは下を向いていた。
 あとの三人は、ひとりで行動していたり、本を片手に持っていたり、周りを見渡したりしていた。変な人たちが卓球部に来たら、私はどう関わればいいか分からない。
そんなことを考えながら、玄関先で靴を履いて歩き始めた。
先輩たちは部活終わりなのか、バイバイと言ってから、ぎゃははと笑い声が聞こえてきた私はまだ知らないことがあると思うと、怖い。
 中学生になったからには楽しいことも期待している自分がいる。
 私は学校を出た。心の中で好きなJPOPの曲を流して、歩いた。
 家からは徒歩十分で着く。
「ただいま~」
 私は自宅に着くと、母がおかえりと言って、笑顔で出むかえてくれた。
「今日はどうだった? 卓球部の見学だったでしょ」
 母は帰ってくるなりに聞いてきた。
「……うーん、変わった人たちかな。部活の先輩はまだどんな人か分からないけど」
 私は靴下を脱いで、ポイっと洗濯機に入れてから、手を洗い始めた。
「…ふーん、その変わった見学者たちが入ったらどうなるんだろうね」
 母は私の方を向いて、聞いてきた。
「分からないから、心配してるんだよ。ふぅー」
 私は台所に行き、コップをたなから取った。じゃぐちから水を出して、コップに入れる。
「でも、その顔色だとよさそうね」
 母は笑って、台所から皿に入ったおかずをテーブルに置いてから言った。
「良くないから。あー、どうしよう」
 私はいすに座って、天井を見上げた。
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