世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
由紀恵は今すぐ社長室にとだけ言うと直ぐに内線を切った。私は慌てて見積課を出るとエレベーターに乗り込んだ。

(一体何の用かしら……)

嫌な予感がして扉を開くのを躊躇ってしまいそうだ。私はノックするために握った右手に力を込めた。

──コンコンコンッ

「どうぞ」

ノックをすればすぐに冷たい声が響いてて、私は深呼吸をしてから「失礼します」と扉を開けた。

「え……」

見れば由紀恵の真向かいにのソファーに座っている心奈が書類の束を抱えて立ち上がるところだった。

「では社長、失礼します」

「えぇ、世界の許嫁として期待してるわよ」

「はい、ご期待に沿えるよう全力で頑張ります」

心奈はそのまま由紀恵に一礼すると、扉の前で固まっていた私の肩にトンとわざと肩を当てた。

「邪魔です。あと負けませんから」

(え……負け……?)

心奈は私を睨みながら直ぐに扉を閉めた。私は視線を由紀恵に戻す。


「源課長、忙しいのに急に呼び出して悪かったわね」

「いえ……」

「そちらにどうぞ」

革張りのソファーに腰かけている由紀恵が真向かいの席を掌ので指し示した。

「失礼します」

私が座るとすぐに由紀恵がため息を吐き出した。

「世界と付き合ってるんですって?」

「え?……」
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