世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「俺、源課長と同じマンションなんでご心配なさらず」

「ちょ、余計なこと言わないでよっ」

「え?マンションが同じ?梅子どういうこと?」

殿村が梅子をじっと見つめた。

「えっと、だから、朝マンション前で小銭落としちゃって、その時会ったのが御堂くんなの。たまたま同じマンションで……さらには御堂くんが新入社員で入ってくるなんて偶然すぎて驚いちゃったけど」

梅子がパソコンをシャットダウンすると椅子の背もたれに掛けていたスプリングコートを羽織った。

「ふぅん……偶然マンションも同じか……で、早速子犬みたいにキャンキャンなつかれて困ってんだ、梅子も大変だな」

殿村がため息交じりに肩をすくめた。

(ふざけんな、キャンキャンって誰んことだよっ)

俺は左拳を握った。

「あのだれが子犬なんすか?」

「キミはまだ二十二?二十三?だよね。どっちでもいいけどね、俺たちから見ればまだまだ子供だよ。な、梅子」

「まあね……もう、ホント週明けから余計な事できないくらい仕事してもらうからっ」

「ん?梅子余計な事って?」

「あぁ、もう殿村に話すようなことじゃないから、じゃあお疲れ様」

(そうだよ、お前に関係ねぇだろ)

俺も鞄を抱えると梅子のあとについていく。梅子は見積課の電気を消して扉開けると殿村に軽く手を振った。

「殿村あんまり、根つめないようにね、あとアレありがと」

「いいえ、どういたしまして。来週楽しんでくるといいよ」

(アレってなんだ?)

「御堂くん、帰るわよ」

「あ、はい」

俺は颯爽とエレベーターに向かう梅子の後ろ姿を慌てて追った。
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