世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜

「せっかちね……ていうか、やっぱり問題よね……いくらたまたまお隣だったとはいえ新入社員の部下と……」

（それに……一応……デートよね……）

思わず小さくため息が零(こぼ)れる。相手が若すぎて、服装も会話もどうしたらいいのか分からない。今日一日どうやり過ごそうか考えたら緊張までしてくる。私は無難な白のタイトスカートにグレーのニットを合わせて、テーラードジャケットを羽織った。

「梅子さん、まだっすか？」

見れば玄関扉から黒いスキニーパンツにグレーベージュのプルパーカーを纏った世界がこちらをのぞいている。

「え！ちょっと、何で呼びにくんのよっ」

「遅いし、なかなか連絡こないんで逃げられてないか心配になったんで。てゆか玄関の鍵閉めなきゃ、不用心(ぶようじん)でしょ」

「あなたが言うセリフなのっ！？まだいまから髪セットしたいから、家で待っててよっ」

私はそういうと洗面台の前でドライヤーに手を掛けた。

「お邪魔します」

「は？」

見れば世界は玄関でスニーカーを揃えるとあっという間に私の目の前に立った。芸能人かのようなキラキラとしたオーラを纏い、カジュアルながらも世界の綺麗な顔に似合いすぎている私服姿にとくんと心臓が跳ねる。

世界の視線が私の胸元からつま先までひと撫でした。