世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
第4章 両想いってことで
──ホテルオオクワ大宴会場。PM19:30。
毎年行われている、TONTON株式会社の新入社員歓迎会に私が出席するのは明菜が入社してきて以来五年ぶりだ。先に世界を含め、部下たちを会場へ送り出し、残った仕事を片付けてからここまで来たがすでに三十分遅れている。
ホテルのエントランスを潜り抜けるとすぐに私はエレベーターのボタンを押した。大宴会場のある三階のボタンを押すと扉が閉まる直前で、また扉が開いた。
「梅子、乗せてっ」
「え、殿村っ」
私は慌てて『開』ボタンを押し、殿村がエレベーターに乗り込んだことを確認してから再度『閉』ボタンを押した。
「ふう……梅子も遅刻で良かった」
「あら、どこかの誰かさんの課からの見積依頼が多くてこんな時間になっちゃったんだけど?」
「いつも助かってるよ、ありがとう」
殿村の大きな掌が私の頭をポンと撫でた。
(え……?)
残業中私が作る見積書を待ちながら、じっと見られることはあっても、直接触れることなんて今まで一度もない。
「な……どしたのよ、急に」
「僕がお礼いったらダメなのかな?」
「ダメっていうか……なんか同期の殿村から改めてお礼言われると照れるっていうか恥ずかしいっていうか」
(ていうか頭……)
「うん、たしかに顔が少し赤いかもな。な、梅子、今日の歓迎会終わったら飲みに行かないか?」
「え?」
「久しぶりにあそこの焼き鳥どう?」
殿村の顔を見ながらすぐに世界の顔と言葉が浮かんでくる。
──歓迎会のあと一緒に帰ろ、あと梅子さん家で飲みなおしたい
世界が退勤する前に、私が頼んでいた見積書を持ってきたのだが、その見積書につけられていた付箋に書かれていた文言だ。
「ええっと……今日は予定あって」
毎年行われている、TONTON株式会社の新入社員歓迎会に私が出席するのは明菜が入社してきて以来五年ぶりだ。先に世界を含め、部下たちを会場へ送り出し、残った仕事を片付けてからここまで来たがすでに三十分遅れている。
ホテルのエントランスを潜り抜けるとすぐに私はエレベーターのボタンを押した。大宴会場のある三階のボタンを押すと扉が閉まる直前で、また扉が開いた。
「梅子、乗せてっ」
「え、殿村っ」
私は慌てて『開』ボタンを押し、殿村がエレベーターに乗り込んだことを確認してから再度『閉』ボタンを押した。
「ふう……梅子も遅刻で良かった」
「あら、どこかの誰かさんの課からの見積依頼が多くてこんな時間になっちゃったんだけど?」
「いつも助かってるよ、ありがとう」
殿村の大きな掌が私の頭をポンと撫でた。
(え……?)
残業中私が作る見積書を待ちながら、じっと見られることはあっても、直接触れることなんて今まで一度もない。
「な……どしたのよ、急に」
「僕がお礼いったらダメなのかな?」
「ダメっていうか……なんか同期の殿村から改めてお礼言われると照れるっていうか恥ずかしいっていうか」
(ていうか頭……)
「うん、たしかに顔が少し赤いかもな。な、梅子、今日の歓迎会終わったら飲みに行かないか?」
「え?」
「久しぶりにあそこの焼き鳥どう?」
殿村の顔を見ながらすぐに世界の顔と言葉が浮かんでくる。
──歓迎会のあと一緒に帰ろ、あと梅子さん家で飲みなおしたい
世界が退勤する前に、私が頼んでいた見積書を持ってきたのだが、その見積書につけられていた付箋に書かれていた文言だ。
「ええっと……今日は予定あって」