劣等生と魔法のキス
(心臓うるさい。ていうか、二人きりの時はアプローチしないってさっき約束したばっかじゃん。人気者がそんなことしたら、目立つのに!)

そう思いながらも、ミアの心の片隅には人気者のリーマスからアプローチされていることをどこか喜んでいる自分がいる。顔を赤く染めるミアを見て、ヴァイオレットは微笑んだ。

「ミア、普段も可愛いけど今すごく可愛い。過去一可愛いわよ。恋すると女の子って可愛くなるって本当だよね」

「恋なんてしてないから!ちょっと部屋が暑いだけ!」

ミアはそう言い態度は誤魔化したものの、心は誤魔化せていない。どうせリーマスは好きではないと思っていても、鼓動はどんどん早まっていく。

その時、授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響き、先生が教室に入って来た。授業に集中すればこの鼓動も治るだろう。そう思ったミアは教室に入って来た先生に感謝を覚えつつ、気持ちを切り替えようとする。

「さて皆さん、もうすぐ学年末パーティーがありますね。パーティーに参加する・しないは個人の判断に任されますが、パーティーには上級生も多く参加します。パーティーに来た際、恥をかかないように、今日は皆さんにしっかりと覚えてもらわなくてはならないことがあります。そう、ダンスです」
< 15 / 29 >

この作品をシェア

pagetop