劣等生と魔法のキス

ミアの耳に授業の始まりを告げるチャイムが聞こえてくる。ミアは顔を真っ青にし、一時間目の授業である魔法薬学の教室のドアを勢いよく開けた。

「遅れてすみませーーーきゃあ！」

ドアを開け、教室の中に入った刹那、何も足元にはないというのにミアはその場で転んでしまう。魔法を使うのに必要な杖や教科書がその場に広がり、ミアは打ち付けた場所をさすりながら「いった〜……」と呟く。

「ミス・シャルパンティエ、またあなたですか！もうみんな今日作る薬の説明を聞いて、調合を始めるところだったんですよ！」

クラスメートたちの視線が集まる中、ミアの前に黒いローブを着た魔法薬学担当の先生が立ち、説教を始める。

「す、すみません……。目覚ましが壊れてしまっていたみたいで……それで寝坊しました……」

ミアが素直に遅刻してしまった理由を言うと、先生は呆れたようにため息を吐く。

「目覚まし時計の調子くらい確認なさい！もういいです。早く調合を始めなさい」

「はい……」