劣等生と魔法のキス
数分間先生の説教を聞いた後、ミアは空いている机に荷物を置く。その間にもヒソヒソと話す声が聞こえてきた。

「ミア、また遅刻だよ」

「お兄さんとお姉さんはあんなに優秀な魔法使いと魔女なのに、相変わらずダメダメね」

その言葉にミアはチクリと胸を痛める。だが、事実なので否定することはできない。

ミアの魔力は一般人と大して変わらない。そのため、魔法を兄や姉のようにうまく使うことができず、ドジばかりである。そのため、ミアは陰で「シャルパンティエ家の出来損ない」と呼ばれている。

「ミア、起こしに行けなくてごめん!先生から頼まれ事をされちゃって、部屋に行けなかったの。本当にごめんね」

ミアが調合を始めようとすると、隣のテーブルにいたヴァイオレット・ミラーが話しかけ、リボンを直してくれる。彼女は、「出来損ない」と呼ばれるミアの唯一の友達だ。

「ヴァイオレット、いいの。目覚ましが壊れてることに気付かなかった私のせいだから」
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