劣等生と魔法のキス

ミアが呪文を唱え、杖を動かすと、ポンッと音を立てて調合した薬の入った器から煙が上がる。煙が消えた後、そこにあったのは調合し終えた薬ではなく、黄色いフリージアの花だった。

「綺麗なフリージアね！」

ヴァイオレットが笑顔を浮かべ、フリージアを手に取る。ミアは「また失敗しちゃった」と笑った。彼女は魔法を使うと、二回に一回の確率で花を咲かせてしまうのだ。

「ミス・シャルパンティエ、花は大層綺麗ですが、これでは点を上げることができませんよ。もう一度作り直しなさい」

先生にそう言われ、ミアは「はい」と言いもう一度材料を机の上に並べる。こうしている間にも、「これだから落ちこぼれは」「失敗作は」と話す声が聞こえ、ミアの調合する手は震えていた。その時である。

授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、生徒たちはゾロゾロと教室を出て行く。先生はため息を吐いた後、ミアに言った。

「放課後に作って私のところへ持ってくるように」