劣等生と魔法のキス
「リーマス、どうしたの?何か忘れ物?」

リーマス・ブーゲンビリアの名前をミアは口にし、ニコリと笑いかける。リーマスはミアと違い一般人同士の間に生まれたのだが、魔法使いとしての素質を認められ、入学してきた。

入学当初、リーマスは「大した魔法を使えない」と思われ馬鹿にされていたのだが、彼は全ての教科で満点を取り、どんな難易度の高い魔法も一度で扱うことができ、将来は魔法大臣になるのではないかと噂されており、周りには常に人が集まっている。

(こんな人気者と二人きりなんて、何だか気まずいなぁ……)

ミアはそう思いながらも、五度目の調合に挑む。材料を揃えていると、リーマスがゆっくりと近付いてきた。そして、机の上に咲いた花を見て目を輝かせる。

「この花、すごく綺麗だね。ミアが咲かせたの?」

「本当はきちんとした薬を作りたいんだけど、何故か花しか咲かないの」

そう言いながらユニコーンのツノを粉末状にしていたミアだったが、その手が不意に優しく掴まれた。

「リ、リーマス?」
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