ようこそ、新たな自殺志願者たちよ

　一日で終える自由研究のような、ほんの軽い気持ちだった。

　ただ、それだけだった。そんな理由でオレ、高校１年の和田亮(ワダリョウ)は、夏休みで行う自由研究のテーマを都市伝説にすることに決めた。

　都市伝説とされていることを一つでも暴いて、そのことをレポートにすればいい。

　遊び半分のような感覚だった。

　都市伝説と噂される場所で「ほら、嘘じゃん」と、優越感に浸る気満々のオレは、なんにしよー、と、テーマに悩んでいた幼馴染のアヤに連絡をする。

　『自由研究のテーマ、オレ、都市伝説にするわ』というＬＩＮＥを送った。

　ものの数分で『アタシ、納豆の菌でできる粘菌迷路にする。楽しそうでしょ？』と、オレと同じく一日でできそうな研究を課題として提出しようとしているアヤ。

　いつもオレがすることなすこと真似してたのに。てっきり『アタシもソレにする』と言い出すものとばかり思っていたためか、全然腑に落ちない。

　アヤが『アタシもする』って言ってくれなきゃ、都市伝説を暴けない。