ようこそ、新たな自殺志願者たちよ



「都市伝説って、噂話から広がった”根拠が曖昧で不明なもの”でしょ……ここはやめた方がいいよ……亮にはわからないかもしれないけど、アタシには分かるから言ってるんだよ……」


「――だから、アヤはついてこなくていいって。少し離れたとこで待ってろよ」


 せっかく親から一眼レフカメラも借りたんだし、なにより、ここまで1時間もバスに揺られて来たんだ。

 タダでは帰りたくない気持ちの方が強かったオレは、意地でもこの建物の中に入りたくて仕方がなかった。

 ――それに今日じゃないと、次は多分来れない気がする。この空気感を2度体感するのはイヤだ。


「行ったら亮死んじゃうよ……」

 涙ぐみ、必死に止めるアヤを無視して、

「死なないって。大丈夫だから」

 その場から立ち上がる。一歩一歩、ゆっくり病院に向かって歩いていると、オレの後ろをアヤがついてきているのが分かった。


 正直、フラフラなアヤを担いで逃げれる自信はない。


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