ようこそ、新たな自殺志願者たちよ
ついてくるなと言っても、意地でもついて来る気だろう。
リュックの中に吐き気留めが入っていたことを思い出した。背負っていたリュックを一旦担ぎ、リュックのファスナーを開け、吐き気留めの薬とペットボトルに入っているお茶を取り出した。
「吐き気留め。気休めにしかならないかもしれないけど、飲んで」
ハイ、と、手渡すと、アヤはか細い声でオレにお礼を言い薬を飲んだ。その場に座り30分ほど経ったころ、
「おさまった」
アヤが立ち上がったので、いよいよオレ達は廃墟の病院内に足を踏み入れる。
入り口のドアは引き戸になっていて、引いてみるとキイッと鈍い音がした。横にいるアヤに視線を向けると悪寒がするのか、両腕を擦っていた。
「……おい、アヤ。大丈夫か?」
「うん……声……亮には聞こえない?」
「……いや、まったく」
アヤが言っている声がどういうものなのか分からないけれど、どれだけ耳を澄ませてもオレには全く聞こえない。