ようこそ、新たな自殺志願者たちよ


 たまたま廃墟の病院内に足を踏み入れたヤツが自殺を望んでいて、たまたまその後に自殺してしまっただけだと思い込んでいた。

 ――浅はかな考えで検証しようとしていたオレがバカだった。

 今になって来なければよかったと後悔した。

 頭がカチ割れるように痛いし、外も中も薄気味悪い。これだけ分かればもう十分だ。レポートはそれっぽいことを書いて提出すればいい。


 ……早く、早くここから出ないと。

 頭の激痛に耐えながら、オレはゆっくりと顔を上げた。


 ――なんで死にたくなるのか、その意味をやっと本当の意味で理解したような気がする。

 さっきまで視えていなかったのに、目の前には真っ黒な何者かが立っていて、

「ようこそ、新たな自殺志願者たちよ」

 カチ割れそうな脳内に直接、その声のようなものが流れ込んできた。

 高いとも低いとも言い表せることができない、その独特な声と気持ち悪さは半端ではない。


 ――ああ、


 オレ、


 死ぬかもしれない。


< 13 / 24 >

この作品をシェア

pagetop