ようこそ、新たな自殺志願者たちよ
「自分の存在価値を認めてほしいなら、なんで殺したりなんかするんだよ……」
スマホを握りしめて怒りを露わにする。
――頭の痛さが、被害者の痛みを表しているようで、何か言わなくちゃ気がすまない。
ほんの少しだけ今日起きた出来事を記事にする予定だったのに、今、目の前にいる相手が大量殺傷事件を起こした元死刑囚だなんて……そんなのをレポートに記したところで信じてくれるわけもないし、やり直しに決まっている。
……くそ。
真っ黒にしか見えないため、殺人鬼の目さえ分からないオレは、今ヤツがどこを見ているのかが分からない。
ただ頭の中にずっと、
『おまえなんて生きていたって価値はない。この世のクズだ、死ね、消えろ、自殺志願者共が』
同じ言葉がひたすら繰り返されていた。
こんなのをずっと聞かされていたら、精神がどうにかなりそうだ。