ようこそ、新たな自殺志願者たちよ
だからここに訪れていた者は皆死にたくなるのか。
『死にたくなる恐怖の廃墟病院』こう言われているのが分かった。
「アヤ、大、丈夫か……?」
「うん。アタシは大丈夫……」
アヤはオレのように頭を押さえたりはしていなかった。たが、お腹を押さえていた。
オレは頭だけど、アヤはお腹が痛いのかもしれない。
「おい、なんでここにいる?」
殺人鬼に話をかけるも、
「新たな自殺志願者たちよ。殺す、殺す、生きている意味ない」
脳内に響くこの声だけは変わらない。むしろ、これだけをひたすらくりかえしていたといった方がいい。
とりあえずカメラだ。こんなところ、写真を撮ったらさっさと出よう。
殺人鬼に向かって写真を撮る。すぐに確認してみたけれど、何も写ってはいなかった。
腰を上げ、カメラを持つ。殺人鬼の横に行き、
「見ろよ、おまえがいくら存在価値を認めてほしくても……おまえはこのカメラでさえも、映らない。この先存在を認められることはないんだよ」
どこに目がついているかは分からないけれど、オレと同じ目線でカメラを向ける。